インフルエンザ②戦いの困難さ
昨日、2018~2019のワクチンが決まったことを書きました。
1 A型Singapore(シンガポール)/GP1908/2015(IVR-180)(H1N1)pdm09
2 A型Singapore(シンガポール)/INFIMH-16-0019/2016(IVR-186)(H3N2)
3 B型Phuket(プーケット)/3073/2013(山形系統)
4 B型Maryland(メリーランド)/15/2016(NYMC BX-69A)(ビクトリア系統)
この4種類のワクチンで戦うインフルエンザウイルスは、どんな相手だと思いますか。
まず、一人の人が感染するとインフルエンザウイルスはその人の細胞を使ってコピーをドンドン作ります。一つのインフルエンザウイルスが8時間で100個に増えると言われ、24時間で100万個、32時間後には1億個のコピーが作られます。
インフルエンザに罹る人は年間延べ1000万人(日本国)です。1000万人でこのウイルスのコピーが行われれば、個性を持ったウイルス(変異)が生まれてしまいます。だからそれに合わせたワクチンを作るのは大変に困難なことです。さらに、今年流行るウイルスを予測しなければなりません。
ウイルスを予測する方法は
- 日本の流行の常に1年先を行く中国にウイルスの観測地点を設けて流行ウイルスを予測します。
- ウイルスの遺伝子情報を解読し、ウイルスが進化する方向を予測します。
- 日本で4~6月頃に散発的に流行するウイルスをチェックします。
- 世界保健機関(WHO)からの流行ウイルス予測を参考にします。
このように爆発的に増えて変異する可能性があるインフルエンザウイルスに、その年の流行を予測して4つのワクチンで対抗するのです。それでは当たらないと思うかもしれませんが、ワクチンは重症化や死亡の予防効果はかなり期待できるのです。
例えば、高齢者ではインフルエンザワクチンによるインフルエンザの予防効果は40%ほどしかありませんが、重症化への予防効果は60%あり、死亡への予防効果は80%もあるのです。80%というのは、ワクチンを接種しなかった高齢の方々が10人死亡した場合、ワクチンさえ接種していれば8人は死亡せずに済んだという意味です。(引用:浜松医療センター、感染症について)